教育・保育支援センター第26回夏期講座

2015.08.07

平成27年8月1日 山口学芸大学・山口芸術短期大学 教育・保育支援センターの主催で
第26回夏期講座を開催しました

【全体講座】
桂 聖先生(筑波大学附属小学校 教諭)をお迎えし、「授業のユニバーサルデザイン -『全員参加』の国語授業づくり-」と題し、授業のユニバーサルデザインの基礎をご講演いただきました。
講演では、「授業のユニバーサルデザインの考え方に立脚すると、クラスの中に"理解の遅い子"がいることで、教師力がアップするきっかけになる」と述べられました。集中力が持続しない子どもや多動傾向の強い子どもが授業に参加する工夫は、学級全員の子どもが理解するための工夫でもあること、だからこそまず「指導の工夫」を先に考え、それから授業内外での「個別の配慮」、「特化した配慮」を考える重要性を、実践事例をもとに解説されました。
また、講演の中で、「全員参加」のための工夫として、授業の「焦点化」・「視覚化」・「共有化」をどう図るかについて、国語科の物語文を題材に授業の工夫についてペアワークを行いました。


【小学校講座①】
桒原昭徳先生(山口学芸大学・同大学院 教授)より、「アクティブ・ラーニングの意義、方法」と題して、近年用いられている「アクティブ・ラーニング」ということばは大学教育の文脈でのものであり、その基礎は歴史上小学校教育では能動的な学習・主体的な学習として実践されてきた、と桒原先生は説明されました。続いて、小学校で子どもが授業に集中するための教師がどう働きかけるか、そのコツを紹介しました。その事例として、2015年6月12日に学級担任に代わって行った小学校3年生の算数「3けた+3けた」の筆算の授業(35分間)を挙げ、夏休み明け(学年始め)を想定しながら指導の方法と技術について具体的に説明しました。

【小学校講座②】
宮木秀雄先生(山口学芸大学・同大学院 講師)より、「子どもの行動と見方」と題して、教員の側が「問題行動だ」と受けとめる子どもの行動について分析・支援するための方法について考えました。私たちは行動と原因を強く結び付けるあまり、「その子どもがこう行動するのはこんな性格・傾向があるからだ」と「その子どもにこんな性格・傾向があるからこのような行動をするのだ」ということをひとくくりにし、それを当たり前のように受けとめてしまいます。そうした思い込みをまず白紙に戻し、仮説を立て直すためにグループワークを行いました。
グループワークでは、「授業中に無断で席を離れる」という子どもの行動の前に何があったのか、そしてその行動の後に何が起こると考えられるかを意見交換しました。そして、「授業中に無断で席を離れ」た後の行動がそれ以降の「授業中に席を離れる」という行動をより強め、繰り返すようなきっかけになるかどうか、あるいは逆に「授業中に席を離れる」行動をやめるきっかけになるかどうかを検討しました。

  
【小学校講座③ 来し方 そして これから --新任教員の授業力、その後--】
長崎県在住、長らく初任者研修拠点校指導教員を務められた宿輪育弘先生をお迎えし、教職のライフコースを踏まえた講話を披露していただきました。教職を続けていくにあたっての3K(謙虚・継続・研修)の大切さを改めて考えさせられる内容でした。
また、宿輪先生に指導を受けた元新任教員4名から体験談をお聞きしました。
教員生活7年目を迎えた高内先生は、教職に就いて、同僚とも児童とも、人との出会いの運の良さを実感していると、エピソードを交えて語られました。「子どもと遊ぶ」・「いつ授業を見に来てもよい、と言って下さる」・「自分の仕事より困っている他人の仕事を優先してくれる」尊敬できる同僚の先生との出会いから成長できたことを振り返り、自らの教育活動や授業研究の経過を報告されました。そして、子ども達や同僚、後輩教員にお返しする立場にあることを意識して「そこのところでとびはねる」、言い換えれば今いる場所で励んでいきたいとのことでした。
教職4年目の桑原先生は、長崎県での教職生活では複式学級の担任を避けて通ることができないこと、今年度はその複式学級を担当することになり、現在複式学級での授業方法に採用されているガイド学習に取り組んでいることを語られました。
また、昨年ドイツでの研修に参加して、ドイツでは小学校は4年間で修了し、成績によってその後大学進学を目標とする学校か、あるいは将来就きたい職業準備が可能な学校か進むことに驚き、日本はジェネラル(一般)を目指しているということを改めて実感した、ということもお話されました。
教職4年目の塚原先生は、自らの不登校経験を語り、子どもにとって学級がよい「居場所」になるよう努力しているとのことでした。また、「教師であること」の難しさに向かい合うことも語られました。また、学校以外の場でも教職修行となることが多々あることを実感する毎日だ、とのことです。
教職7年目の山浦先生は大村市のゆるキャラ・おむらんちゃんと登場。山浦先生は初任の頃、授業進度を気にしてしまったせいか学級経営に困難さを抱えていました。そんな時に宿輪先生やその他の先生から「子ども達と遊んでいる?」という質問を受けとめ、反省して子どもと向き合う姿勢を変えたところ、学級が持ち直すことができました。そうした経験もあって学級経営のモットーとして「輪」を掲げています。また、教職4年目より校外での研究授業を担当するようになりました。そこから研修参加の魅力に目覚め、教職6年目より自主研修サークル 学校おむらん会に参加、今では自主研修の楽しさ、喜びを糧にますます努力しています。

全体講座 桂 聖先生

全体講座 桂 聖先生

受講生の様子です

受講生の様子です

小学校講座① 桒原昭徳先生

小学校講座① 桒原昭徳先生

小学校講座② 宮木秀雄先生

小学校講座② 宮木秀雄先生

グループワークの様子です

グループワークの様子です

小学校講座③ 宿輪 育弘先生

小学校講座③ 宿輪 育弘先生

高内 有貴子教諭

高内 有貴子教諭

桑原玲子教諭

桑原玲子教諭

塚原大将教諭

塚原大将教諭

山浦祐介教諭

山浦祐介教諭